○津野町環境基本条例
平成17年2月1日
条例第129号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 環境基本計画(第9条)
第2節 町が講ずる環境の保全及び創造のための施策等(第10条―第28条)
第3節 地球環境の保全(第29条・第30条)
第3章 国及び他の地方公共団体との協力等(第31条・第32条)
附則
私たちのふるさとは、清流四万十川や新荘川の源流点の町として、また美しい山並及び四国カルスト天狗高原などの自然美をほこる里としてその豊かな恵みの中で、先人のたゆまぬ努力と進取の精神により、個性的な伝統や文化をはぐくんできた。
しかしながら、近年の経済効率優先の社会経済活動の進展は生活の利便性を高める一方、大量生産、大量消費、大量廃棄型社会をもたらし、資源やエネルギーの消費が増大し、微妙な均衡のもとに成り立つ自然の生態系をはじめとする環境に影響が及ぶところとなっている。更に人口流失による過疎化、高齢化の問題に直面し、深刻な後継者不足が生じ郷土の保全や水資源のかん養等に重要な役割を果たしてきた森林をはじめとする特色ある地域環境の保全が困難となってきており、また、ふるさとの活性化を願うがゆえの開発と環境保全との両立が課題となっている。
もとより、健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受することは、健康で文化的な生活を営む上で現在及び将来の町民の権利であり、私たちは、この環境を将来の世代に継承するため、環境のもたらす恵みを思い、あらゆる活動において良好な環境と創造に努めていかなければならない。
私たちは、今までの経済効率優先を改め、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を目指し、健全で恵み豊かな環境を保全するとともに、よりよい環境を築き、津野町らしさあふれる美しいまちづくりをすべての町民の参加により推進し、将来の世代に引き継いでいくことを決意してこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、日本最後の清流四万十川や新荘川の源流点を有する町として、また四国カルスト天狗高原などの自然美をほこる里として環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに町、地区、事業者及び町民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進しもって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、現在及び将来の町民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、人類の存続の基盤である環境が将来にわたって良好な状態で維持されるように適切に行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨として、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行わなければならない。
3 地球環境の保全は、人類共通の課題であるとともに町民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であることにかんがみ、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、次に掲げる事項に関し基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(1) 公害の防止に関すること。
(2) 自然環境の保全に関すること。
(3) 野生生物の種の保存及び生態系の多様性の確保に関すること。
(4) 人と自然との豊かな触れ合いの確保、良好な景観の保存及び形成、歴史的・文化的遺産の保全等に関すること。
(5) 廃棄物の適正処理並びに廃棄物の減量及び再生利用に関すること。
(6) 地球環境の保全に関すること。
(7) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関すること。
(地区の責務)
第5条 地区は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関し、町の施策に準じた施策及び当該地区の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するため、必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(町民の責務)
第7条 町民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、町民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(広報)
第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的な推進に資するとともに環境の状況、環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにするため、必要に応じ公表しなければならない。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 環境基本計画
(環境基本計画)
第9条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する基本構想
(2) 環境の保全及び創造に関する目標
(3) 環境の保全及び創造に関する施策の方向
(4) 前3号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画を定めようとするときは、あらかじめ津野町環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
第2節 町が講ずる環境の保全及び創造のための施策等
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 町は、施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図り、環境の保全及び創造について配慮するものとする。
(環境影響評価の推進)
第11条 町は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(規制の措置)
第12条 町は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
2 町は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。
(助成等の措置)
第13条 町は、事業者又は町民が自らの行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造に関する適切な措置をとることとなるように誘導するため、必要かつ適正な経済的な助成、技術的な助言等の措置を講ずるように努めるものとする。
(施設の整備等の推進)
第14条 町は、環境の保全及び創造に必要な公共的施設の整備等を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的な利用等の促進)
第15条 町は、環境への負荷の低減を図るため、事業者又は町民による資源の循環的な利用、廃棄物の減量及びエネルギーの有効利用が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たって、資源の循環的な利用、廃棄物の減量、エネルギーの有効利用及び未利用エネルギーの開発利用に努めるものとする。
(都市部と町との連携の促進等)
第16条 町は、人と自然が共生する活力ある郷土づくりを推進するため、都市部と郷土との連携の促進その他の必要な措置を講ずるものとする。
(森林及び緑地の保全等)
第17条 町は、町民が真の豊かさを享受し、人と自然が触れ合う緑豊かな郷土の形成を図るため、森林及び緑地の保全、緑化の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。
(農村環境の保全等)
第18条 町は、農業生産と生活環境がより良く調和した豊かな農村環境を保全し、及び創造するため、農地の有効利用、農村の生活環境の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
(清流の保全)
第19条 町は、清流四万十川や新荘川を全国に誇れる貴重な財産として将来にひきつぎ、清らかな水質、豊かな水量及びこれらにふさわしい生物に恵まれた清流を保全するため、必要な措置を講ずるものとする。
(美しい山なみと四国カルスト天狗高原の保全)
第20条 町は、町民の憩いの場であり、林業及び観光産業において重要な役割を果たしている美しい山並及び四国カルスト天狗高原を保全するため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境美化の促進)
第21条 町は、多くの景勝地に恵まれた美しい環境を保全するため、ごみの投棄及び散乱の防止、屋外における廃自動車等の保管方法について、必要な措置を講ずるものとする。
(良好な景観の形成)
第22条 町は、自然に配慮した地域の美観風致の維持、文化財及び史跡の保存及び修復、緑豊かなむらづくり等を推進し、良好な景観の形成を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境教育及び環境学習の振興等)
第23条 町は、事業者及び町民が環境の保全及び創造に関する理解を深め、自ら環境への負荷の低減に努めるとともに、環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的な活動の促進)
第24条 町は、事業者、町民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、技術的な指導又は助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第25条 町は、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに民間団体等の自発的な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の状況、環境保全活動の事例その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を適時かつ適切に提供するように努めるものとする。
(調査及び研究の実施等)
第26条 町は、公害の防止、自然環境の保全、地球環境の保全その他の環境の保全に関する事項について、情報の収集に努めるとともに、科学的な調査及び研究の実施並びに技術の開発及びその成果の普及に努めるものとする。
(監視等)
第27条 町は、環境の状況を的確に把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、大気、水質、土壌等の状況の監視に必要な体制の整備に努めるものとする。
(総合調整等のための体制の整備)
第28条 町は、環境の保全及び創造に関する施策について総合的に調整し、及び推進するために必要な体制を整備するものとする。
第3節 地球環境の保全
(地球環境の保全に資する行動計画の策定等)
第29条 町は、地球環境の保全が人類共通の課題であるとともに、町民の現在及び将来にかかわる課題であることを認識し、町、地区、事業者及び町民がそれぞれの役割に応じて地球環境の保全に資するよう行動するため、その普及及び啓発に努めるとともに、これに基づく行動を推進するものとする。
(地球環境の保全に関する国際協力等)
第30条 町は、地球環境の保全のため、大気、河川、森林等に係る課題に関し地域ごとの取組みを推進するとともに、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護、酸性雨対策その他の地球環境の保全に資する施策を推進するものとする。
2 町は、国、他の地方公共団体、民間団体等その他の関係機関と連携し、地球環境の保全に関する調査、研究、情報等の提供、技術移転、人材の育成等により、地球環境の保全に関する地域からの国際協力の推進に努めるものとする。
第3章 国及び他の地方公共団体との協力等
(国及び他の地方公共団体との協力等)
第31条 町は、環境の保全を図るための広域的な取組みを必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
(地区への支援)
第32条 町は、地区が実施する環境の保全及び創造に関する施策を支援するように努めるものとする。
附則
この条例は、平成17年2月1日から施行する。