○津野町職員の分限処分に関する指針

令和5年12月1日

訓令第4号

第1 趣旨

この指針は、職員が地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第28条第1項第1号から第3号までの各号の分限事由に該当する可能性のある場合の標準的な対応措置等を定めるものとする。

第2 分限事由についての考え方

1 勤務実績不良(法第28条第1項第1号関係)

「勤務実績が良くない場合」とは、職員が担当すべきものとして割り当てられた職務内容を遂行してその職責を果たすべきであるにもかかわらず、その実績があがらない場合をいい、当該職員の出勤状況や勤務状況が不良な場合もこれに当たる。

2 心身の故障(法第28条第1項第2号関係)

「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」とは、将来回復の可能性のない、ないしは、分限休職期間中には回復の見込みの乏しい長期の療養を要する疾病のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合を指す。

3 適格性欠如(法第28条第1項第3号関係)

「その職に必要な適格性を欠く場合」とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に起因してその職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいう。この意味における適格性の有無は、当該職員の外部に現れた行動、態度に徴して判断すべきであり、その場合、個々の行為、態度につき、その性質、態様、背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度については相互に有機的に関連付けて評価すべきであり、さらに当該職員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素をも考慮する必要があり、これら諸般の要素を総合的に検討した上、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連において法第28条第1項第3号の該当性を判断しなければならない。

第3 分限処分の検討が必要となる事例と対応措置

1 勤務実績不良(法第28条第1項第1号)及び適格性欠如(同項第3号)

(1) 対応措置が必要となる事例

ア 毎日のように初歩的な業務ミスを繰り返して作業能率が著しく低い状況であるとともに、定められた業務処理も怠ることが多く、勤務実績が著しく悪い。

イ 無断欠勤や職場での無断離席を繰り返し、上司の注意・指導にもかかわらず来庁者や職員等としばしばトラブルを引き起こして来庁者等からの苦情が絶えない。その結果、職員本人の業務が停滞しているだけでなく他の職員の業務遂行にまで悪影響を及ぼしている。

(2) 対応措置

勤務実績不良の職員又はその職に必要な適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員に対しては、一定期間にわたり、注意・指導を繰り返し行うほか、必要に応じて、担当職務の見直し、研修等を行い、それによっても勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が継続する場合には、分限処分が行われる可能性がある旨の警告書(様式第1号。以下同じ。)を交付する。その上で、一定期間経過後もこれらの状態が改善されていないことにより当該職員が法第28条第1項第1号又は第3号に該当するときには、分限処分を行う。

ア 手続

(ア) 注意・指導、担当職務の見直し等

人事担当課及び所属長は、勤務実績不良の職員(勤務実績不良と評価することができる事実が認められる職員)又はその職に必要な適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員(適格性欠如と評価することができる事実が認められる職員)に対し、勤務実績の改善を図るため又は問題行動を是正させるための注意・指導を繰り返し行うほか、必要に応じて、担当職務の見直し、職場研修を行うなどして、別表第1に掲げる例を参照し、勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が改善されるように努める。

(イ) 警告書の交付

(ア)の措置を一定期間継続して行っても勤務実績不良の状態又は適格性欠如と評価することができる行為が頻繁に見受けられるなど適格性に疑いを抱かせる状態が続いている場合には、任命権者は、当該職員に対して、次の内容の記載がある警告書を交付する。

① 勤務実績不良又は適格性欠如と評価することができる具体的事実

② 勤務実績不良又は適格性欠如と評価することができる状態の改善を求める旨の文言

③ 今後、これらの状態が改善されない場合には、法第28条第1項第1号又は第3号に基づいて分限処分が行われる可能性がある旨の文言

(ウ) 弁明の機会の付与

任命権者が職員に(イ)の警告書を交付した場合には、当該職員に弁明の機会を与える。弁明は、弁明書(様式第2号)を提出してするものとする。

(エ) 警告書交付後の観察

人事担当課及び所属長は、警告書交付後も、一定期間注意・指導等を行いつつ、勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が改善されているかどうか、注意深く観察・確認を行う。

(オ) 分限処分

任命権者は、(ア)から(エ)までの措置を講じたにもかかわらず、職員の勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が改善されていないことにより当該職員が法第28条第1項第1号又は第3号に該当すると判断した場合は、分限処分を行う。

イ 留意点

(ア) 資料収集

勤務実績不良又は適格性欠如に該当するか否かの判断は、単一の事実や行動のみをもって判断するのではなく、一連の行動等を相互に有機的に関連付けて行うものであるので、別表第2に掲げるような客観的な資料を収集した上で行う必要があり、特に、仕事上の失敗・トラブル・第三者からの苦情等の具体的な事実が発生した場合には、その都度、詳細に記録を作成しておく。また、注意・指導、警告書の交付等の措置を行った場合は、その内容を記録しておく。

(イ) 問題行動が心の不健康に起因すると思われる場合

問題行動が心の不健康に起因すると思われる場合には、所属長は、職員に積極的に話しかけて事情を聞くほか、必要に応じ同僚等に職員の状況の変化の有無を聞き、また、産業医、専門家等と対応を相談する。

(ウ) 懲戒処分との関係

問題行動が懲戒処分の対象となる場合には、任命権者は、総合的な判断に基づいて懲戒処分を行うなど厳正に対応する必要があり、津野町懲戒処分等の指針(平成20年12月11日制定)第2の標準例に掲げる取扱いを参考に判断するものとする。

(エ) 降任と免職

分限処分を行う場合、下位の職であれば良好な職務遂行が期待できると判断するときには降任処分とし、下位の職でもそれが期待できないと判断するときには免職処分とする。

(オ) 行為の態様等に応じた手続の省略

問題行動の態様や業務への影響等によっては、任命権者の判断と責任に基づいて、裁量の範囲内で、警告書の交付などの手続を省略することができる。

2 心身の故障(法第28条第1項第2号関係)

(1) 対応措置が必要となる事例

ア 3年間の病気休職の期間が満了するにもかかわらず、病状が回復せず、今後も職務遂行に支障があると認められる。

イ 心肺機能停止後昏睡状態のため、病気休職中であるが、今後回復して就労可能となる見込みがない。

ウ 心身の故障のため、3年以上にわたって、病気休暇や病気休職と短期間の出勤とを繰り返している。

(2) 対応措置

3年間の病気休職期間が満了するにもかかわらず心身の故障の回復が不十分で職務遂行が困難であると考えられる場合、病気休職中であって今後職務遂行が可能となる見込みがないと判断される場合又は病気休暇や病気休職を繰り返してそれらの期間の累計が3年を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合には、任命権者が指定する医師2名の受診をさせて、法第28条第1項第2号に該当するかどうかを判断する。

ア 手続

(ア) 医師2名による診断

任命権者は、職員が3年間の病気休職期間が満了するにもかかわらず心身の故障の回復が不十分で職務遂行が困難であると考えられる場合、病気休職中であって今後職務遂行が可能となる見込みがないと判断される場合又は病気休暇や病気休職を繰り返してそれらの期間の累計が3年を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合には、当該職員に対して、法第28条第1項第2号に該当するか否かを判断するために、医師2名を指定して受診を促す。この場合において、職員が指定された医師2名の診断を受けようとしない場合には、職務命令として受診を命ずる。

(イ) 医師2名の診断結果による判断

① 医師2名により心身の故障があると診断された場合

指定した医師2名によって、長期の療養若しくは休養を要する疾患又は療養若しくは休養によっても治ゆし難い心身の故障があるとの診断がなされ、その疾患又は故障のため職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないことが明らかな場合は、分限免職とする。

② 医師2名による心身の故障があるとの診断が得られなかった場合

指定した医師2名のうち、少なくとも1名が長期の療養若しくは休養を要する疾患又は療養若しくは休養によっても治ゆし難い心身の故障があるとの診断をしなかった場合には、法第28条第1項第2号に該当すると判断することはできず、職員本人及び主治医・健康管理医等と相談の上、円滑な職場復帰を図っていくなどの対応を行う必要がある。

イ 留意点

(ア) 医師による適切な診断を求める努力

心身の故障の回復の可能性の判断は、医師の専門的診断に基づく必要があるが、職場の実態や職員の職場における実情等について、診断する医師の十分な理解を得ることなどを通じて、適切な診断を求めていくことが必要である。

(イ) 病気休職期間満了前からの準備

3年間の病気休職の期間が満了する場合には、その期間満了前から、当該職員や主治医と緊密に連絡を取って病状の把握に努め、医師2名の診断を求める必要があるかどうか検討しておく。

(ウ) 複数の異なる内容の心身の故障が原因の場合

病気休暇や病気休職を繰り返してその累計が3年を超える場合であっても、例えば、精神疾患の病状が回復し職場復帰した後に交通事故による外傷によって病気休職等とされた場合のように、当該病気休職等の原因である心身の故障の内容が明らかに異なるときには、この事例には該当しないものとして取り扱う。

3 受診命令違反(法第28条第1項第3号関係)

(1) 対応措置が必要となる事例

ア 3年間の病気休職期間満了に当たって、職務遂行能力の有無を把握し、職務復帰が可能であるか否かを判断するため、再三にわたり指定する医師の受診を命じたにもかかわらず、これらの命令に従わなかった。

イ 勤務実績不良又は適格性欠如の例に該当する場合で、問題行動が心身の故障に起因すると思われたことから、1(2)(イ)の措置を講ずる中で、再三にわたり医師の受診を命じたにもかかわらず、これらの命令に従わなかった。

(2) 対応措置

3年間の病気休職期間が満了するに当たって心身の故障の回復が不十分で職務遂行が不可能であると考えられたことなどから、再三にわたり医師の受診を命じたにもかかわらずこれに従わない場合又は勤務実績不良若しくはその職への適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員について、それらが心身の故障に起因すると思われるため再三にわたり医師の受診を命じたにもかかわらずこれに従わない場合には、医師2名の受診を受診命令書(様式第3号。以下同じ。)により命じ、これに従わないときは、法第28条第1項第3号により免職とする。

ア 手続

(ア) 受診命令書の交付

次の内容の記載がある受診命令書を交付して受診を命ずる。

① 任命権者の指定する医師2名の診断を受け、診断書を提出するよう命ずる旨の文言

② この受診命令が法第28条第1項第2号に該当する可能性があるか否かを確認することを目的とするものである旨の文言

③ 正当な理由なくこの受診命令に従わない場合、法第28条第1項第3号に該当するとして分限免職が行われる可能性がある旨の文言

(イ) 分限免職

(ア)の受診命令書の交付により行う受診命令に対し、職員が正当な理由なく従わない場合、法第28条第1項第3号により分限免職とする。

イ 留意点(適格性欠如の要件を確認しておく必要性)

この分限免職は、法第28条第1項第3号に基づく処分であるから、職員が正当な理由なく受診命令を拒否したことのほか、当該職員が有していると思われる疾患又は故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない状況にあると認められること、受診命令拒否その他の行動、態度等から、当該職員がその職に必要な適格性を欠くと認められることを客観的資料により確認して行うことが必要である。

4 行方不明(法第28条第1項第3号関係)

(1) 対応措置が必要となる事例

長期間にわたり、行方不明となっている。

(2) 対応措置

原則として1月以上にわたる行方不明は、免職とする。

この指針は、令和6年1月1日から施行する。

別表第1(第3関係)

勤務実績不良又は適格性欠如と評価することができる事実の例

勤務実績不良又は適格性欠如と評価することができる事実の例としては、次に掲げるようなものがある。

なお、個々の例が法第28条第1項第1号の勤務実績不良又は同項第3号の適格性欠如のいずれかに該当するかについては、諸般の要素を総合的に検討して判断する必要があるが、次に掲げる例のうち、第1項から第5項までについては同条第1項第1号又は第3号、第6項及び第7項については同条第1項第3号と評価することができる。

また、個々の例の中には、同時に懲戒処分の対象となる事実も含まれていることから、当該事実を把握した任命権者は、分限処分と懲戒処分の目的や性格に照らして、それぞれの処分を行うかを判断する必要がある。

1 勤務を欠くことにより職務を遂行しなかった。

(1) 長期にわたり又は繰り返し勤務を欠いたり、勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた。

ア 連絡なしに出勤しなかったり、いわゆる遅刻・早退をした。

イ 病気休暇、年次休暇が不承認となっているにもかかわらず、病気等を理由に出勤しなかった。

ウ 上司の指示を無視し、資料整理に従事する等と称して出勤しなかった。

(2) 業務と関係ない用事で度々無断で長時間席を離れた(欠勤処理されていない場合でも勤務実績不良等と評価され得る。)。

ア 事務室内外を目的もなく歩き回り、自席に座っていることがほとんどなかった。

イ 勤務時間中に(席を外して)職場外に長時間私用電話をした。

2 割り当てられた特定の業務を行わなかった。

所属する係の所掌業務のうち、自分の好む業務のみを行い、他の命ぜられた業務を行わなかった。

3 不完全な業務処理により職務遂行の実績があがらなかった。

(1) 業務のレベルや作業能率が著しく低かった。

ア 業務の成果物が著しく拙劣であった。

イ 事務処理数が職員の一般的な水準に比べ著しく劣った。

(2) 業務ミスを繰り返した。

計算業務を行うに当たって初歩的な計算誤りを繰り返した。

(3) 業務を1人では完結できなかった。

他の職員と比べて窓口対応等でトラブルが多く、他の職員が処理せざるを得なかった。

(4) 所定の業務処理を行わなかった。

ア 上司への業務報告を怠った。

イ 書類の提出期限を守らなかった。

ウ 業務日誌を作成しなかった。

4 業務上の重大な失策を犯した。

5 職務命令に違反したり、職務命令(受診命令を含む。)を拒否した。

6 上司等に対する暴力、暴言、誹謗中傷を繰り返した。

7 協調性に欠け、他の職員と度々トラブルを起こした。

別表第2(第3関係)

勤務実績不良又は適格性欠如を証明するための客観的な資料の例

勤務実績不良又は適格性欠如を判断する客観的な資料の例としては、次に掲げるようなものがある。

(1) 人事評価結果その他職員の勤務実績を判断するに足ると認められる事実を記録した文書

(2) 勤務実績が他の職員と比較して明らかに劣る事実を示す記録

(3) 仕事上の失敗・トラブル、苦情等の記録

(4) 指導に関する記録、対話に関する記録

ア 職務命令に従わない等、その職にふさわしくない言動に関する記録

イ その職に必要な能力、適性、知識を有していない事実に関する記録

(5) 服務に関する記録(懲戒処分、分限処分等の記録を含む。)

(6) 身上申告書、職務状況に関する報告

画像

画像

画像

津野町職員の分限処分に関する指針

令和5年12月1日 訓令第4号

(令和6年1月1日施行)

体系情報
第4編 事/第2章 分限・懲戒
沿革情報
令和5年12月1日 訓令第4号