ススキ揺れる四国カルスト天狗高原で見つけた小さな秋

空が少し高くなり、吹く風にも秋の気配を感じるようになりました。

四国カルスト・天狗高原では、広い草原を覆うススキが見頃を迎えています。

一面に広がるススキの景色もこの季節ならではですが、少し足元に目を向けながら歩いてみると、紫や青、黄色、白――さまざまな秋の草花に出会うことができます。

今回は、9月23日に天狗高原を歩きながら見つけた植物をご紹介します。

秋風に揺れる、天狗高原のススキ

初夏には緑一色だった高原も、少しずつ表情を変えていきます。その風景を代表するのが、草原いっぱいに広がるススキです。

太陽の光を受けた穂は白銀色に輝き、風が吹くたびに草原全体が波のように揺れます。青空とススキが広がる景色は、秋の四国カルストならではです。

そして、この季節の楽しみは雄大な景色だけではありません。遊歩道や道沿いをゆっくり歩いてみると、足元にはたくさんの小さな花が咲いていました。

天狗高原で出会った秋の花

リンドウ(四国カルスト天狗高原)

秋の山を代表する花のひとつ、リンドウ。

深い青紫色の花は、高原の緑の中でもよく目立ちます。

天狗高原では秋が深まる頃に見頃を迎えますが、9月下旬になると少しずつ咲き始めた花を見つけることがあります。

ヒメヒゴタイ(四国カルスト天狗高原)

小さな紫色の玉が並んでいるように見えるヒメヒゴタイ。

近づいて見ると、一本一本の細かな花が集まっていることがわかります。

秋が深まる頃に見られる植物で、これから10月にかけて楽しみたい花のひとつです。

ツリガネニンジン(四国カルスト天狗高原)

淡い青紫色の花を下向きにつけるツリガネニンジン。

名前のとおり、釣鐘のような形をした花が特徴です。花の中央から長く突き出している花柱も観察ポイントです。

オトコエシ(四国カルスト天狗高原)

白い小さな花をまとめて咲かせるオトコエシ。遠くから見ると白い小さな傘のようにも見えます。

山野に生える多年草で、夏の終わりから秋にかけて花を咲かせます。近づいて見ると、一つひとつはとても小さな花です。

キンエノコロ(四国カルスト天狗高原)

道沿いではキンエノコロも見つけました。いわゆる「ねこじゃらし」の仲間です。

穂を覆う毛が黄金色に見えるのが特徴で、太陽の光を受けると名前どおり金色に輝きます。

大きな花ではありませんが、秋らしい被写体のひとつです。

オタカラコウ(カルストテラス近辺)

湿り気のある場所で黄色い花を咲かせるオタカラコウ。長く伸びた茎に、黄色い花をいくつもつけます。

少し薄暗い林の中では黄色い花がよく映え、高原の草原とはまた違った秋の景色を見せてくれます。

オタカラコウを撮影していると、花にはアサギマダラの姿も。

浅葱色の透き通るような翅が美しい蝶で、季節によって長い距離を移動することで知られています。

秋の花を探しながら歩いていると、こうした生き物との出会いもあります。

ミズヒキ(セラピーロード)

細い茎に小さな赤い花がぽつぽつと並ぶミズヒキ。

派手な花ではありませんが、背景をぼかして見ると一本の赤い線を描いたような姿が印象的です。

ツユクサ(セラピーロード)

鮮やかな青色の花びらが特徴のツユクサ。

身近な植物ですが、高原の緑の中で見る青色はとても鮮やかです。

ヒナシャジン(セラピロード)

白く小さな釣鐘形の花を下向きに咲かせるヒナシャジン。花から長く突き出した花柱も特徴です。

高知県と愛媛県の石灰岩地にのみ分布する植物で、四国カルストらしさを感じられる植物のひとつです。

とても小さな花なので、気づかず通り過ぎてしまいそうになりますが、しゃがんで眺めると繊細な姿を見ることができます。

ハガクレツリフネ(セラピーロード)

名前のとおり、葉の下に隠れるように花を咲かせるハガクレツリフネ。

淡い紫色の花には細かな模様があり、横から見ると小さな舟が吊り下がっているようにも見えます。

天狗高原では9月中旬から下旬頃に見られる秋の花です。

レイジンソウ(セラピーロード)

細長い淡紫色の花が印象的なレイジンソウ。

「伶人草」と書き、花の形が雅楽を奏でる人がかぶる冠に似ていることが名前の由来とされています。

木陰の少し湿り気のある場所でひっそりと咲いていました。

足元を見ながら歩くと、もうひとつの四国カルストが見えてくる

四国カルストといえば、広大な草原や白い石灰岩、どこまでも続く空といった雄大な風景に目が向きがちです。

でも、少しゆっくり歩いて足元を見てみると、ほんの数センチほどの小さな花や、草の陰に隠れるように咲く花にも出会えます。

またセラピーロードも少し葉が色づき始めているところもあり季節の移り変わりを感じることができます。

天気のよい日は、景色を見るだけでなく、ぜひゆっくりと高原を歩いて「小さな秋」を探してみてください。

散策するときのお願い

四国カルストには貴重な植物も自生しています。植物は採取したり、植生地へ踏み込んだりせず、遊歩道や散策路から観察・撮影を楽しみましょう。

また、高原は天候が変わりやすいため、散策前には天気予報を確認し、歩きやすい靴や上着などを準備しておくと安心です。


撮影日:2026年9月23日
撮影場所:四国カルスト・天狗高原(高知県津野町)

※掲載している植物名は撮影した写真などをもとに確認しています。植物は個体差や近縁種との違いがあるため、一部については同定が異なる可能性があります。